こんにちは!
世田谷パン祭り2022 プロジェクトに参加している、昭和女子大学 世田谷パン祭り商店会応援チームです。

昨年から始動した三宿四二〇商店会インタビュー企画「やっぱり三宿が好き」。第4回目となる今回は、創業50年、長年三宿エリアにお店を構える下馬いせやさんへインタビューさせていただきました。

下馬いせや

“まちをよくしたい”若者たちの熱意に心打たれた

三宿の人々に愛されて半世紀。
下馬いせやさんは、先代のレシピを引き継ぎ、ひとつひとつ手づくりしたこだわりのお団子や大福を販売しています。

下馬いせやの2代目店主である橋本健さん。
工房で家族とご飯を食べるなど、幼少期から下馬いせやと共に過ごされてきました。
今回は、商品のこだわりや三宿四二〇商店会とのつながりなどについてお伺いしました。

Q:三宿にお店を構えたきっかけは?
私の父がお店を始めました。元々父は亀戸の和菓子屋さんで仕事をしていまして、そこから独立をしたんです。独立した年が昭和39年で、最初は日暮里にお店を出しました。それから4年後に下馬に来ました。
今は近くに大きなマンションがありますけど、実は昔は何にもなく、世田谷公園も整備し始めている状況だったようです。父は東京の他のまちも色々とまわり、物件を探したものの、どこも家賃が高かったようです。そんな中、案外世田谷が1番安かった。まだ世田谷は田舎で、のどかな雰囲気だったということでしょうね。
当時、このあたりには下馬一丁目商店街があり、夕方になると賑やかだったそうです。そして、昔はお客さんがたくさん集まる場だった銭湯がお店の候補地の目の前にあったこともあり、人が集まるのは間違いない!と思ったらしく、この場所に決めたみたいです。元々、三宿だから良いという理由ではなく、こっちの方が安かったから決めたっていう感じです。(笑)

Q:下馬いせやさんの店名の由来は何ですか?
うちはのれん分けですよ。看板の「米」ってマーク、米蔵さんという方が最初に伊勢屋さんを始めたことで付いています。当時、伊勢屋と聞くと“団子屋、餅菓子屋だ”っていう感じで、世の中に知れ渡っていました。父は伊勢屋で働いていましたので、のれん分けしていただいて、伊勢屋を店名にしています。
今の店名は「下馬いせや」と表示していますけれど、本当は漢字で伊勢屋だけなんです。でも、東京に伊勢屋っていっぱいあるので、地名の下馬を入れさせていただきました。あとは馴染みやすいようにひらがなにしています。

Q:商品のこだわりは何ですか?
伊勢屋は基本的に餅菓子屋といって、お団子・大福・餅菓子などがメインのお店です。あと、お菓子屋だと意外かも知れないけど、うちはおいなりさんやお赤飯も売っています。それって昔は、今で言うコンビニエンスストアなんですよね。あそこにいけばご飯も買えるし、お菓子も買える!って。
だから、コンビニエンスストアができたときは結構ピンチだったんです。うちはご飯とお菓子ですけど、ご飯から全て揃っているお店ができた時に、うちの父がやばいと思ったんです。それからどら焼きとか栗まんじゅうとか、日持ちする焼いたお菓子やご進物用のお菓子を作り始めました。

僕の代になってからは、どこの店でも同じ団子だと意味ないと思ったので、原材料にこだわるようになりました。例えば、団子の粉は富山にあるドリームファームさんで、コシヒカリを粉にしてもらったのを送ってもらっています。
あとは、帯広の知り合いからよもぎを送ってもらっています。そうそう、この方は昭和女子大学の卒業生なんです。自然に生えてるよもぎを新芽だけ採って送ってもらって、お正月用のお餅とかで使っています。昭和女子大学とはつながりがあって面白いですね。
材料に他のお店と違いを出さないと太刀打ちできないので、材料にこだわるようにしました。全てではありませんが、ほとんど国産を使うようにしています。

Q:三宿四二〇商店会に加入した理由は何ですか?
ここは以前、下馬一丁目商店街っていうこのあたりでは結構大きな商店街でした。当時は活気があったんですけれど、だんだん商店街の人たちが高齢になって、10年前くらいかな?商店街を辞めちゃったんですよ。うちとしては何の問題はなかったんですけどね。
でも、三宿通りが10年前くらいから隠れ屋的な存在になってきたんです。ハッと気がついたときには洒落た店が増えてきていて、街灯のところに「三宿四二〇商店会」って書いてあって、なんかこれカッコいいな、何なんだろうと思っていたんですよ。
たまたま商店会に入っているCRAFT CHOCOLATE WORKSの方が小学校の後輩だったのでこれ何?って聞いてみたら、商店会だよ!って。すごいオシャレだなと思いました。今までの商店会って、お年寄りが会合開いて、年中同じようなこと話し合っているイメージをもっていましたけれど、これはセンスいいな!って惹かれました。
話を聞いていたら、若い人たちの考え方が新鮮にうつったんですよ。パン祭りとか面白いイベントをやっていて、すごいなと思いました。今までの商店会にはない、まちをよくしたいという若い人たちの熱意が伝わってきて、会長の間中さんに入れてもらえませんか?と声をかけ、入れていただきました。

Q:CRAFT CHOCOLATE WORKSさんとコラボ商品を作っているそうですね。商品開発秘話などを教えていただきたいです。
元々チョコレートまんじゅうっていうのを売っていました。中が白あんで、チョコと小麦粉とミルクの生地で包んで、上にホワイトチョコをつけたものです。そのときはベルギー産とかフランス産とかのホワイトチョコを使っていたんです。
CRAFT CHOCOLATE WORKSさんとは知り合いでつながりがあったので、Bean to Barのチョコを使いたいなと思って言ってみたら、すぐにいいですよって引き受けてくれました。
開発秘話は、CRAFT CHOCOLATE WORKSの竹内さんが、あんこもチョコにした方が良くありません?と、助言してくれたことです。そこからあんこに対してチョコをどれくらい入れていけばいいのか割合を考えていきました。白あんだから小豆とは違ってそんなに風味はないので、小豆の香りがするっていうことはないんです。かといってチョコを入れすぎるとドロドロになっちゃって包めない。柔らかすぎても作れないなと思って、割合を考えていってちょうどいい感じになりました。

チョコレート屋さんとして名が知られているお店なので、CRAFT CHOCOLATE WORKSさんのチョコを使っていますと言うと、お客さんも“え!?”ってびっくりされます。うちも良いイメージを持っていただけるので、とても嬉しい効果です。
世田谷でこういうのを売っているのはうちしかないので、世田谷みやげに申請して、登録していただきました。

Q:商店会の中で紹介したいお店やつながりのあるお店はありますか?
行くと良いお店はいっぱいあるんですけど、なかなか商店会を見る機会が少ないんですよね。でも、福祉作業所さんのところにあるカフェBa-Waとか、すごく落ち着いていて、お茶するのにすごくいいなと思います。あそこのカフェはお年寄りの方が結構いっぱいいて、表通りとは違った雰囲気かもしれませんが、作業所で焼いた手づくりのお菓子もよくできていておススメです。
あとは、市民酒場ジョーさんってみんな行ったことないでしょ?三宿通りから入ったところにお店があるんですけど、そこのおじさんがすごく面白くて、行くと外国人さんとかがいっぱいいるんですよ。元々おじさんが料理を映す名カメラマンだったらしいんですけど、撮っていて自分もやりたくなっちゃったみたいで。料理もめちゃくちゃおいしいんですよ。洒落たっていうかまた不思議なお店でみなさんが行ってみても面白いかもしれません。

Q:この地に長年お店を構えるいせやさんからみて、三宿の進化した点は何ですか?
めちゃくちゃ進化しましたよ。元々僕が子供のときって、三宿通りはそんな特別なものはなかったです。町工場とか自動車修理の工場とかばかりだったんです。全然想像つかないでしょ?
2、30年前、三宿池尻に向かう途中にカフェとかができ始めました。穴場的な感じで、電車じゃ通えないけど業界の人が集まるような場所に変化し始めましたね。間中さんとかがこっちに来るようになってから、よりクリエイティブでセンスの良いきれいなお店ができるようになってきました。
FUNGOさんが約30年程前にできてこのあたりも急に変わった感じですかね。元々FUNGOさんのところは僕の同級生の美容室でした!FUNGOさんができてから、特にこっち側は洒落たお店が増えて、若い人たちも増えた気がします。

Q:三宿四二〇商店会で橋本さんが清掃活動の取りまとめを行っているそうですが・・・
うち家族でやっていて、「寅さん」みたいな家なんですよ(笑)この上の家に住んでいるので、お店と直結なんですよ。僕が小さいときなんかはここ(工房)でご飯を食べていたり、今でもここでお昼を食べたりしています。そんな感じなので、三宿四二〇商店会にしてはちょっと異色のお店ですよね。
ひとつひとつ手づくりしながら売って、お嫁さんとパートの方が販売しています。なので、パン祭りや桜まつり、夏まつりとかもそうなんですけど、僕自身、なかなか参加できないんです。商店会に入れてもらっても、公園に行って売るとか、お手伝いとかが一切できないのが申し訳ないと思っていたところ、掃除だったらできる!と思いつきました。しかもここに住んでいるじゃないですか。商店会の皆さん結構通っている方が多いので、だったら僕がやりますよって清掃活動の取りまとめをやるようになりました。

Q:活動は商店会の方々と一緒に?
そう。うちが木曜定休日だから木曜日にやったりしています。商店会の定例会を木曜日の15時からやっているんですけど、皆さん仕事とかちょうど忙しい時間でなかなか集まれないんですよ。でも、朝だったら大丈夫ですって方も多いので、定例会の日の午前10時から始めます。それだったら出られますという方も多くて、20人くらい集まっていただいてやっています。

まちを良くしたいとか、協力したいって方がいっぱいいらっしゃることを実感します。普段なかなか話せないけれど、面白いお店なんだなとか情報がいろいろと飛び交い、親睦を深めることができています。清掃活動も大切なんですが、親睦を深められるのが良いなと思っています。僕よりも若い方がいっぱいいるので、楽しいっていうか、嬉しいですね。

Q:最後に、これからの三宿に期待することを教えてください。
今は三宿通り沿いを色々改革していますよね。例えば、CRAFT CHOCOLATE WORKSさんの前にベンチをつくったり、実験的に通りにキッチンカーをおいて、販売したりしているんです。
あと、通り沿いに植物があるじゃないですか。清掃活動をやっていると思うんですけど、あれってすごくゴミが集まりやすい場なんです。イギリスとかの通り沿いに、花がぶら下がって、下の道路には何もないようなところがありますよね。ゴミも出ないし、素敵だなって思うんです。日本は緑があっていいんですけど、実はゴミの溜まり場だったり…。
商店会ではそういった場所を撤去しようとしているんです。こういうのは若い人たちの考えで、僕たちみたいな年上は全然そんなこと考えたこともなかったですよ。

あとは、ガードレール。ガードレールはただの鉄の塊で、車が来たらへこんじゃったり案外危ないんですよ。なので、それをちゃんとガードできるものに変えようという試みをしています。
そういった改革はなかなか他の商店会では見られない。お店だけじゃなくてまち全体のために、安全のために考えて、行政も巻き込んで働きかけてみる。僕には想像つかない新しいことを色々と始めてくれるのかなと思うと、これからがとても楽しみです。

インタビューを終えて
インタビューに慣れていない私たちを暖かく迎え入れてくださったおかげで楽しくインタビューをすることができました。ありがとうございました。
インタビューを経て、橋本さんがお父様から受け継いだお店を守り続けるための工夫やこだわりを伺うことができ、地域の方に長く愛されている理由が分かりました。
また、お店だけでなく、まち全体をより良くしたいという「思い」が強く伝わり、今まで何気なく過ごしていたまちにも様々な視点で見てみると、もっと改善できる点があることに気づかされました。
たくさんの「思い」をお聞かせいただき、ありがとうございました!

2022年10月
インタビュー・文:髙橋/梅澤
(昭和女子大学 人間社会学部 現代教養学科)

 
ABOUT US

昭和女子大学 人間社会学部 現代教養学科で、世田谷パン祭り2022に参加しています。その中で、地元だけでなく他の地域の方にも三宿を知ってもらいたいという思いから、「商店会応援チーム」として活動し、昨年に引き続き記事を作成しています。
三宿四二〇商店会の皆さんがもつ「思い」を多くの方に知ってもらうために、インタビューを行いました。自身のお店に対する「思い」や、三宿の街、商店会の他のお店に対する「思い」を伺い、サイトに掲載することでより多くの方に知っていただきたいと考えています。