こんにちは!
世田谷パン祭り2022 プロジェクトに参加している、昭和女子大学 世田谷パン祭り商店会応援チームです。

昨年から始動した三宿四二〇商店会インタビュー企画「やっぱり三宿が好き」。第3回目となる今回は、世田谷公園の目の前にお店を構えるFUNGOさんへインタビューさせていただきました。

FUNGO ▶GRANNY SMITH APPLE PIE & COFFEE

三宿を選んだんじゃない、出会ったんだ。

FUNGO(ファンゴー)さんは、三宿にお店を構えて26年。
アメリカに来たかのような雰囲気を感じさせる店内では、様々なカスタムでサンドイッチとハンバーガーを楽しむことができます。
大学時代はアメリカのバークレーで過ごされた関さん。学生の頃から、将来は社長になるんじゃないかと漠然と感じていたそうです。就職を機に帰国しましたが、2年で”脱サラ”し、FUNGOを起業しました。
今回は、三宿という街の魅力や自分のお店にかける思いなどについてお伺いしました。

Q:三宿にお店を構えたきっかけとは?
公園が近い。テラスがある。空が広い。東京はビルがいっぱいあって、空が広くないでしょう?だけど三宿はビルがないから、この場所を見たときにここがいいなと感じました。選んだわけではないです。
サラリーマンが来る店より、どちらかというとおしゃれであってほしいと考えていました。湘南にドライブしに行く前に、何か買っていこうってなった時、せっかくかっこいい格好をしてオシャレしてるのに、マックのハッピーセットは違う。パッと車を止めて、テイクアウトできるお店。非日常でおしゃれで、それでいてカジュアル。これが三宿の良さだと思います。三宿は、公園の自然的な明るいイメージと大人でおしゃれな雰囲気、両方持っているんです。

Q:三宿にこのお店をオープンされたのは、学生時代を過ごしたアメリカのような雰囲気を感じたからですか?
それもあります。サンドイッチって家でも食べるけど、基本外で食べますよね。「こういう青空の下で、公園で食べたくないですか?」っていうイメージがあって。あと当時はあんまりいなかったけど、今はワンちゃんと一緒にお店に来たいじゃないですか。空が見えるテラス席で、ワンちゃんと一緒に楽しめる、そんなお店にしたいと思っていました。
僕はアメリカ時代、毎日サンドイッチを食べていたんだけど、毎日飽きずに食べられるんだよね。今日はローストビーフ、今日はBLT、今日はハンバーガー、今日はパストラミみたいな。エッグサンドとか、ベジタリアンだとか、いろいろある。パンも変えられるし、サイズも具材も自分で頼めるし、マスタードも選べる。マヨネーズだって選べる。バターも無塩バターとか。それに、ワンちゃん連れの人も、おばあちゃんもOK。当時はユニバーサルデザインっていう言葉があんまり知られてなかったけど、車いすとかで入ってこられるとかね。そういうことをトータルで考えたときに、「都心の、雑多で、ラーメン屋とかクリーニング屋とか歯医者さんとか並んでいるところ」ではなくて、この場所がいいなって感じました。

Q:様々なジャンルのお店を経営されていますよね。
そうですね。1995年にFUNGOがオープンしたころは、サンドイッチっていうのは世の中のみんなが知っていました。知っていたんだけど、日本ではサンドイッチっていうとコンビニに売っている三角形のものをイメージするんじゃないかな。だから、みんなこういう(FUNGOのような)お店を想像していませんでした。でもアメリカでは、パンが選べて、ロールタイプで、すごく大きいハンバーガーで、っていうのがスタンダードでした。
GRANNY SMITHはブランドを輸入したと思われているけど、僕がゼロから創ったんです。アップルパイっていうスイーツがあることはみんな知っているけど、“アップルパイ屋さん”はない。日本酒のお店はいっぱいあるけど、うちのようなお店(関さんが経営している日本酒専門店「酒 秀治郎」)はない。
アップルパイとかサンドイッチのお店はあるけど、そのお店の魅力というか価値がそれぞれにあります。例えばFUNGOだったら、ワンちゃんを連れて来れるとか、都心にはない広々とした雰囲気とか。ビルがあって、人がいっぱい歩いていて、車がうるさくて、誰かがたむろしてて、そういうのが“ない”ことも価値。ここはイートイン、テイクアウト、デリバリーをやっていることも価値。今ではテイクアウトもデリバリーもコロナ禍になって当たり前になったけど、うちは26年前からデリバリーをやっています。新宿で運営しているイタリアンのお店だったらランチ、ディナー、バーがあることが価値。それぞれの時間で客層もメニューも違います。とにかく価値はいっぱい付けた方がいいです。1つの場所で価値があればあるほどビジネスとしてはいいんです。サンドイッチやアップルパイなど、みんなが知っているテクノロジーをもっと価値のあるものにする。そしてビジネスだから儲からないといけない。それには価値を増やすことが重要です。

Q:最近はサンドイッチやアップルパイの専門店は珍しくないですよね。
抵抗ないでしょ?店をスタートした時はユニークな存在だったけど、今では誰にでも自然と受け入れられている。好きなものや楽しいと感じることを突き詰めてかたちにするって、初めは不思議な目で見られることもあるんです。さっき話したように、テクノロジーをかたちにすることって、楽しいことでもあり、価値の創造っていう原点でもあります。自分が楽しめるっていうのは大事なことです。勉強だって言われてやるのは嫌だけど、興味のあることだったら覚えられるでしょう?だからやっぱり、好きとか楽しいっていうのは大事だよね。

Q:三宿の魅力的なところはどこだと思いますか?
やっぱり、街というか、ここに来る人や街の使われ方やお店は変わったけど、雰囲気は変わらない。一番は、公園って絶対変わらない。公園自体はずっとあるでしょう?だからビルが建たないし、雰囲気が変わらない。それがいいんじゃないかなと思います。時代は変わるし、三宿全体も変わる。人の流れも変われば、街も変わる。でも公園は変わらない。そういうところが三宿の良いところですよね。
そして、おしゃれな人がたくさんいます。うちもオープンした当時はお客さん来るかなってすごい不安だったんです。でもたくさんの人が来てくれた。サンドイッチが1000円くらいしても、お客さんは並んでいました。それが三宿です。いい大人がいて、価値を分かってくれる人たちがいる。そういうエリア“だから”、三宿“だから”、できたんだと思います。これが新宿とか渋谷とかだったら、流行りの店で終わっていましたね。

Q:昔と今で三宿の雰囲気は変化したと感じますか?
変わったと思います。公園は変わらないけど、整備されてきれいになりました。今GRANNY SMITHがある場所は、前はラーメン屋だったんです。最初はアップルパイ屋さんを始めるつもりはありませんでした。でもラーメン屋がなくなってテナント募集の掲示が出て、いろんな人が見に来るようになりました。それでFUNGOの目の前に変なお店ができたらいやだなって感じるようになって。だから、僕達がなんかやるしかないなと。街づくりってそういう感じなんだよね。

Q:商店会に入った理由はありますか?
特に理由とかはないけど、三宿って離れ小島みたいなエリアでしょ。FUNGOがオープンした当時は、ITバブル崩壊と重なっていい時代ではありませんでした。三宿は三軒茶屋みたいに街全体で団結して集客力があるエリアじゃなくて、お店がポツンポツンとあるから、自然にお隣同士で団結しようって雰囲気ではなくて。そこで、三宿四二〇商店会っていうのができたんです。うちは三宿にお店を構えて長いし、なにか協力できることがあればいいなとか、それが全体の活性化に繋がればいいなっていう気持ちは強かったと思います。それが商店会に入った一番の理由ですかね。

Q:商店会の中の繋がりはありますか?
あります。今年のGRANNY SMITH10周年の時に、H TOKYOさんとハンカチを作ってノベルティで配ったりしました。あとは情報交換とかをしています。お店同士の情報交換ってすごく大事で、商業施設の中のお店は特に雨の日はどうだったかとか、コロナの時はどうだったかとか、いろんな情報が共有されているんです。でもこの街にはそういうのがなかった。でも、商店会ができてからは、商店会の会合はもちろん、それ以外で繋がって情報交換をしたりもしています。

Q:今後の三宿に期待することはありますか?
街って自然にできるものだし、あまり期待はしていません。でも、三宿は非常に理想的な街かなと思います。三宿っていうより日本全体に変わってもらいたいなと思いますね。どの街も抱えている問題ではあるけど、お店の周りにも50年くらいの古いマンションがいっぱいあって、このFUNGOが入っているマンションもその一つです。これからどんどん街は変わっていくと思うけど、都市計画で変わっていくわけではないから、願望としてはきれいな街に変わっていくといいなと思っています。

インタビューを終えて
インタビュー経験がない私たちでしたが、はじめに私たちに取材するような形で関さんの幅広い人生経験のお話をしてくださり、さまざまな面で大変勉強になりました。
インタビューを経て、関さん自身がアメリカで感じた食文化の違いを、20年前の文化の異なる日本で取りいれようとした行動力や、ハンバーガーやアップルパイ、日本酒などにさまざまな「価値」を見出すことで新たな価値の創造に取り組んでいる視野の広さに、終始圧倒されました。私たちも関さんのように自分の好きや楽しいを追求しながらこれからの人生を送っていきたいと感じました。
たくさんの「思い」をお聞きかせいただき、ありがとうございました!

2022年10月
インタビュー・文:成田 /佐藤
(昭和女子大学 人間社会学部 現代教養学科)

 
ABOUT US

昭和女子大学 人間社会学部 現代教養学科で、世田谷パン祭り2022に参加しています。その中で、地元だけでなく他の地域の方にも三宿を知ってもらいたいという思いから、「商店会応援チーム」として活動し、昨年に引き続き記事を作成しています。
三宿四二〇商店会の皆さんがもつ「思い」を多くの方に知ってもらうために、インタビューを行いました。自身のお店に対する「思い」や、三宿の街、商店会の他のお店に対する「思い」を伺い、サイトに掲載することでより多くの方に知っていただきたいと考えています。