こんにちは!世田谷パン祭り2025 プロジェクトに参加している、昭和女子大学世田谷パン祭り商店会魅力発信チームです。

2021から始動した三宿四二〇商店会インタビュー企画「やっぱり三宿が好き」。第9回目となる今回では、三宿おにぎり AZUMAYA の松尾純也さんへインタビューさせていただきました。

三宿おにぎり AZUMAYA
三宿おにぎり AZUMAYAさんは、毎日朝7時からこだわりの素材のおいしいおにぎりを届けています。「日常という旅のお供に。」をコンセプトとして、多くの方々に愛されるテイクアウト専門のおにぎり屋さんです。

代表の松尾さんは、飲食業や美容業、アパレル業など、幅広い店舗経営の経験を経て、昨年2024年に三宿おにぎり AZUMAYAをオープンしました。

今回は、三宿おにぎり AZUMAYAのお店と商品へのこだわりや、三宿に対する思いをお伺いしました。

Q:はじめに、お店のお名前の由来をお聞かせください。
東屋って知っていますか?東屋というのは、公園とかに4本柱で屋根だけついていて、ベンチが置いてある、腰掛けスポットのような場所です。

今でも山の麓や公園にもある、かつては旅人たちが止まり木のように、一息ついてはまたそこから旅へ出ていくチャージスポットだった場所、それが東屋というんです。

僕はもともと、海外から何かを日本に持ってくるというビジネスよりも、日本の誇れるものを海外に持ってくという考えなんです。

「東屋」は、「東」という字が目立つじゃないですか。この「東」には色々な意味があって、東京の東であり、アジアの一番東にあるのが日本であり、太陽が昇る東であり…。そういう東を全部かけて、アジアの極東の東京から、世界におにぎりを発信していく「AZUMAYA(東屋)」という店名になっています。

AZUMAYAのコンセプト自体に「日常という旅のお供に」というのがあるんですけど、AZUMAYAでおにぎりを買ってもらって、旅行に行ったりとか、最近だったら池尻小学校の運動会に持って行ってくれたりとか、キャンプや撮影の差し入れとか、色々なところに持って行ってくれる。毎日の皆さんの日常の中に、AZUMAYAのおにぎりがある。そういう役目になることができたらいいなと思い、この名前をつけました。

それが新しい普通の景色になってるということが、僕らのコンセプトになっています。

Q:営業時間を朝早く(7:00)から昼(14:30)までとされている理由についてお伺いできますか。
うちの営業時間を「朝7:00〜昼14:30」にしているのは、大きく分けて“お客様のニーズ”と“スタッフの働きやすさ”の2つの理由があるんです。

まずお客様目線でいうと、朝の世田谷公園って散歩やランニング、スポーツをしている人がすごく多いんですよ。しかも住宅地なので、駅に向かう人や車・バイクで出勤する人も多い。そういう方にとって、サッと買えてすぐ食べられるおにぎりはちょうどいいんです。お昼前後になると、近くの企業でリモートでお仕事をしている人や病院に行く人、子どもと公園に来るお母さんたちが多くて、そこでも需要があります。

次にスタッフ目線。出勤は6:30からにしていて、始発で通える距離に住んでいる人でも無理なく来られる時間帯なんです。それに、子どもを幼稚園や保育園に送った後に働きたい方にとっても、この時間帯はすごくフィットします。

「お客様にとってもちょうどいい時間」×「スタッフにとっても働きやすい時間」、この2つを掛け合わせた結果が“朝から昼までの営業”なんです。

Q:テイクアウト専門店にされた理由についてお聞かせください。
お客さんに商品を直接手渡ししたいからです。今はUber Eatsを使っていますけど、最初の頃は一切使っていなかったんです。何気ない日常会話から生まれるあたたかさを大切にしたいんですよね。

商品を運んでくださるUber Eatsの配達員の方にも、お客さんと同じように「おはようございます」や「行ってらっしゃい」を言うようにしています。

Q:おにぎり屋さんを始めようと思ったきっかけについてお聞かせください。
僕のおばあちゃんとおじいちゃんが、鹿児島県で田植えとか牛を育ててたんですよ。だから、お米とか農業にすごく親近感があって。

ちょうど数年前ぐらいから、日本の食が海外で受け入れられ始めて、今はどんどん海外の方が日本を訪れて、日本食の美味しさを知って帰られると思うんですけど、僕はずっと飲食業をやっていて、それを分かっていたので、米と水と塩で戦えるなと思ったんです。

海外に行くと分かるんですが、本当に日本食を食べたくなるんですよ。だから、この間日本に帰ってきた時、空港の駐車場の隣にある吉野家にすぐ入って食べて、涙出るほど美味しくて(笑)本当に日本食のありがたさが分かるんです。

海外に行っても、日本食ってあまり出回っていなくて、フィンガーフードで食べられるものなんてないんですよ。世界のフィンガーフードの代表っていうのは、ハンバーガーとかサンドイッチで、それ以外はほとんどないんです。
そのベーシックをおにぎりで作りたいなと思って、おにぎり屋さんにしようと決めました。

Q:人気商品をご紹介いただけますか。
1番人気は圧倒的に「しゃけ」(しゃけ塩麹)なんですよ。お子様からお年を召した方まで幅広い世代の方に人気があります。

僕のおすすめは「和風ツナマヨ」です。あとは2ヶ月ごとに変わる期間限定メニューですかね。

鮭含め魚は豊洲から、肉は精肉屋さんから仕入れて、明太子は博多から直送しているんです。全部店で一から仕込んでいるから、保存料は不使用で作っています。だからこそ、みなさん重宝してくれているというか。「コンビニのおにぎりは食べられなくなっちゃう(笑)」と言ってくれて、みなさん買ってくださるんです。だからなるべく安売りはしないようにしていて、コンビニのおにぎりの上位互換としてクオリティを上げて作っています。

Q:最近、お米の価格高騰が話題になっていますよね。そんななか、おにぎり屋さんであるAZUMAYAさんではどのように工夫されているのでしょうか?
前職で焼肉屋のマネージャーをしていた時、そのお店で僕が面倒を見ていた後輩が、たまたま「南魚沼産コシヒカリ」で有名な新潟県南魚沼の塩沢エリアの出身だったんです。さらに、その親友が、塩沢エリアでも田畑の面積を大きく持つ農家さんの2代目だったんです。

そこのお米を食べた時に感動して、うちの店でもこのお米を使いたいと思い仕入れさせていただいています。

そのご縁で、AZUMAYAでは今後のお米も確保できている状態です。色々な方とうまくリンクが全て重なっている感じです。

Q:三宿にお店を構えられたきっかけや、商店会にご参加された理由をお伺いできますでしょうか。また、松尾さんご自身と三宿との繋がりなどがあれば、教えていただきたいです。
僕は、22歳で先輩が独立していた会社にジョインさせていただいて、10年間渋谷の会社にずっといたのですが、その頃三宿でよく遊んでいたんですよ。だから、三宿はめちゃくちゃ面白い街だなと思っていて、このエリアのことをよく知っていたんです!その為、独立して1店舗目は三宿にしようと思いBARを出店しました。

もともと、このAZUMAYAがある場所は、30年間営業しているブティックだったんですよ。僕はアパレル業とかもやっているので、そこのオーナーさんにお店の相談をよく受けていたんです。ですが、ふとした頃に辞めることにしましたという連絡がきて、「もしこの場所が良ければ、松尾さんにお譲りしたいです」と、本当にすごい物件を物件情報が出る前にもらうことができたんです!

商店会とかに入ると、すごく愛情が湧いてくるというか、このエリアを盛り上げたいなとか、三宿カルチャーを作れたらいいな、みたいなのはありますね。

Q:最後に、今後の三宿にどのようなことを期待していますか?
三宿は、世田谷公園の世田谷パン祭りのような、大きなイベントがたくさんある地域ですよね。そういうイベントがいっぱい増えてほしいと思っています。

例えば、この三宿の通りが歩行者天国になって、夏祭りを行って両サイドに屋台が並んでいて...そんなイベントが行われていたら、とても面白そうだと思います。歩行者天国を行うのはなかなか難しいと思いますが(笑) ファミリーや学生さんを含め、豊かな方々が集まる場所になってほしいと思っています。

インタビューを終えて
松尾さんの、周囲への思いやりにあふれたお人柄が伝わり、温かい気持ちになりました。

三宿でお店を立ち上げた経緯や、お米の仕入れの背景からは、人を思うことを大切にしてきた松尾さんと、多くの方々との「ご縁」が感じられました。

そうして生まれたぬくもりで、お客さんの心を穏やかにし、日常へと送り出してくれる姿は、まさに三宿の「東屋」です。オープンして間もないにもかかわらず、多くの常連さんが訪れる理由が伝わりました。

インタビューの中では、私たち大学生への温かいアドバイスもいただき、短い時間の中でも松尾さんの誠実で優しいお人柄を感じることができました。お話を終えたとき、まるで私たち自身もAZUMAYAさんから送り出してもらえたような気持ちになりました。

貴重なお話をありがとうございました!

2025年10月
インタビュー・文:磯部、遠藤、和田(昭和女子大学 人間社会学部 現代教養学科)